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東京高等裁判所 昭和28年(ネ)1400号 判決

控訴人 下条義広 外一名

被控訴人 小川利兵衛

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

控訴人ら代理人は、原判決を取り消す、東京地方裁判所が同裁判所昭和二七年(ヨ)第六五三二号仮処分事件につき昭和二八年一月二二日なした仮処分決定を取り消す、被控訴人の本件仮処分申請を却下する、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする旨の判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述は控訴人ら代理人において次の如く主張の訂正、追加をした外、すべて原判決の事実摘示のとおりであるからここにこれを引用する。

控訴人ら代理人の当審における新たな陳述。

一、本件宅地はもと被控訴人先代亡小川佐兵衛の所有であつたが、同人は大正一〇年一二月二九日公正証書によつて、その所有の土地及び地上建物を被控訴人、佐兵衛の妻にして被控訴人及びその弟妹の母たるてる、被控訴人の弟たる美治、実、松之助及び妹たる花に遺贈する旨の遺言をした。そしててるは効力発生前たる昭和一九年六月九日死亡し、次いで佐兵衛は昭和二〇年三月二三日死亡しここに遺言は効力を生じたが、被控訴人が右遺言は遺言者により昭和二〇年二月一一日取り消された旨主張したため兄弟間に争が生じ、これが約一年半続いた後結局遺言は有効であり、その内容どおり実行するということになつた。

昭和二一年九月二〇日被控訴人から控訴人下条に対し「弟達から昭和二二年一月末までに新円で一五万円作つてくれるならば本件宅地を如何ようにするも異議はないといつて来ているが何か方法はないか。」と相談を持ちかけたので同控訴人は「自分に本件宅地を委してくれるなら弟三人の持分は新円一五万円で買いとり、被控訴人の持分に対しては月々相当の仕送りをして安楽に生活できるようにしてやろう。」と申し向けて被控訴人の承諾を得た。かくて控訴人下条は苦心して新円一五万円を作りこれを被控訴人の弟達三人に交付してその持分を買得した。又受遺者の一人である花は控訴人の妻下条栄に対し自分の死後は自己の持分を姉宮本ひさ、妹樋口常、同下条栄に贈与する旨約束していたが、昭和二三年二月死亡し、控訴人下条は次いでこの三名から各その持分を買い受けた結果結局同控訴人は本件宅地につき五分の四の持分権を有する。

二、昭和二二年二月一九日甲第一号証の土地管理に関する契約書ができたがその履行の状況は次の如くである。

土地管理の履行にあたりはじめは従前の借地、借家人らと交渉終了後整地して貸地する筈であつたが、方針をかえ会社を設立しこれに本件宅地を貸地し会社の責任において経営に当ることとし控訴会社を設立した。そして会社は貸家を建設して賃貸する等着々事業を進めつつあつた。

一方昭和二三年四月一七日被控訴人と控訴人下条との間に被控訴人の土地持分に対する地代として同月以降毎月金五千円を送る約束ができ、以後これを実行している。即ち三ケ月に金一万五千円として昭和二四年三月分まで送金しており、その後は今日まで浴場に貸地した地代四〇〇〇円及び小野増次外一名に貸地した地代一七六〇円計五七六〇円を被控訴人が直接取り立てているから差引き被控訴人の持分に対する地代の延滞はない筈である。加うるに浴場貸地に際しては控訴人下条は保証金中五万円を被控訴人に送つたし、右小野らの前の借地人熊坂敏雄に対し被控訴人は控訴人らに断りなく貸地して権利金九五万円を収得している。

本件宅地に関しては以上によつて明かな如く被控訴人に対する月五千円の送金によつて被控訴人に対する一切の責任は果していることになり、建築費、保証金、家賃等について報告する義務はないのであるが、ただ道義上一切を被控訴人に通知している。

のみならず、控訴人下条は、小川佐兵衛死後未納であつた地租税、被控訴人及び花の相続税の納入、佐兵衛生前本件宅地を担保にしてなされた借入金の返済と担保の解除、被控訴人の弟達に贈与した金の借入による債務の支払と担保の解除等本件土地に関し債務の弁済担保の解除をなし、又建物疎開により東京都から交付された預金が効力を失つたのを当局に交渉して復活させ、又従前の借地、借家人に対する対策についても苦慮し訴訟二件その他は話合を以て解決した。

三、従来控訴人下条は土地管理人と控訴会社代表者を兼ねていたが、昭和二七年一〇月二五日会社代表者は下条久と

なり控訴人下条は土地管理人のみということになつた。

控訴人下条は戦災直後の窮屈な事情のもとで約一年半に二一棟六八戸の店舗住宅を完成したのであるが、これらは控訴会社の名において賃貸し、税務署に対する新築届も昭和二三年七月二七日になし、税務署に対する会社決算報告にも被控訴会社の所有資産として届けている。かように会社資産たるものが登記簿上控訴人下条個人名義になつてしまつている理由は会社から届け出た新築届が紛失し、控訴人下条名義のまま仮処分となつたため控訴人個人名義になつてしまつたものである。

四、昭和二二年度は本件宅地全部に対する地租が五七〇〇円であつたものが二四、二五、二六年度は各前年度の三倍となり二七年度は二十六万七千円に増額された。一方家賃収入は最初の頃は一ケ月二万四千円位で公租公課の増額に比しての増収は望めず、已むなく、打開策として道路に無償編入された二三二坪、消防庁に無償貸与した一五〇坪についての免租並びに昭和二四年度地租税追徴金に対する異議を昭和二六年一月二三日申請して受理され、同年四月二七日第二次申請をして同月三〇日受理された。なお、昭和二三年度地租納税に際しても昭和二六年一月二二日異議申請中なる旨留保して納税し、昭和二六年二月一五日納税に際しても同様の借置をとつたが今日に至るも未解決である。

他面、被控訴人は数次に亘り本件宅地の一部を無断売却し、あるいは又買受人と被控訴人との間の紛争などで土地は買受人において利用しながら地租税だけを負担させられているものもある。即ち被控訴人は昭和二二年二月和田鉄之助に一八〇坪を昭和二六年五月日本興業株式会社に二二九坪を、(これは目下係争中)同年九月巣鴨橋商業協同組合理事長三浦敏に二一〇坪を売却した。かくの如く、土地保全を阻害したり、地租税の納税を困難にしているのは被控訴人である。

五、納税管理者たる控訴会社から税務当局に右の事情を話したところ一応差押えておいた方が安全だということで、即ち、納税管理者に同情して差押がなされたのである。そして異議申請中のものはその未解決のまま公売処分にすることは絶体になく、免租申請中のものは完結までに時間が相当かかるものであり、その間家賃は順次増額する故月賦納入を承認してもらつて完納の自信は充分あり、昭和二八年一月から一二月まで分納により完納に近く納入させている。

六、本件仮処分の結果次のような不都合を生じている。

(1)  昭和二七年一二月一日から実施を認められた家賃五割、地代三割値上げもできず、

(2)  居住者中代行管理を奇貨として勝手に増築改築をなすもの多数あり、

(3)  代行管理になつてからは家賃未払者漸増し、

(4)  居住者が勝手に借家権を譲渡するものができ、

(5)  控訴会社は土地、管理人たる控訴人下条から宅地を賃借し貸家を建て、その賃貸を業とするものであるのに、管理権を停止されて破滅に陥り、

(6)  代行者は地租税滞納の理由も究めず払込むため再度免租申請中の未解決のものが解決後払戻しに困難することとなり、又、富有税も課税されるに至り、

(7)  代行者は家賃の取立てをするだけで家屋の修理など従来管理者側が行つてきた居住者に対するサービスをしない、

〈立証省略〉

理由

一、本件宅地の所有権の所在と被控訴人主張の委任の成否。

成立に争なき甲第一号証、第一六号証の一、第一七号証、第一八号証、第二〇ないし第二二号証の各一、二第二三号証、真正に成立したものと認められる甲第九、第一〇号証、当審証人平井良雄の証言によつて原本の存在と成立の認められる甲第一六号証の二(甲第一五号証と同じもの)に原審証人下条敏子、原審並びに当審証人小川エイ、当審証人平井良雄の各証言を綜合すれば、原判決の認めるように被控訴人が控訴人下条に対し被控訴人の所有に確定した本件宅地二二〇〇坪の管理を委任してその引渡をした事実を認めることができるので、原判決のこの部分の記載(六枚目表一〇行目から七枚目表五行目まで。但しそのうち、六枚目裏二行目に「贈与する旨」とあるのを「贈与することに帰する趣旨」と四行目に「昭和二十二年一月二十八日」とあるのを「昭和二二年一月三〇日」と各訂正する。)を引用する。

控訴人らは、本件宅地は控訴人下条において、被控訴人の弟たる小川美治、実、松之助から昭和二二年一月末各五分の一宛の遺贈による持分を譲り受け、被控訴人の妹小川花からその五分の一の持分の遺贈を受けた花の姉妹宮本ひさ、樋口常、下条栄から昭和二三年二月花の死亡の後この五分の一の持分を譲り受けた、合計五分の四の持分権を有する被控訴人との共有地であり、又被控訴人の有する五分の一の持分については控訴人下条において昭和二一年九月二〇日被控訴人から一切を委され、昭和二三年四月一七日地代として同月以降一ケ月金五千円を支払うことに両者の約定ができたものであると主張し、控訴本人下条は原審並びに当審でこれにそう供述をするけれども信用し難く成立に争なき乙第一〇号証、第一一号証の一、二には、控訴人下条が、控訴人らの主張する時期とは凡そかけはなれた昭和二五年八月六日及び同月五日においてではあるが、控訴人ら主張の如き持分譲受けをした如く記載してあるけれども、(右時期に控訴人下条が持分譲渡を受けたとすれば、遅くもそれまでには本件宅地上に本件建物が控訴人下条によつて建築され終つていたことは当事者間に争なきところであるから、建築当時における控訴人下条の本件宅地についての支配、使用権原が何であつたか疑問であり、控訴人らの主張によつては知る由もないが。)前記各疎明と対比し弁論の全趣旨から考えると、これら書類が控訴人下条の持分譲受けの点に関する限り真相にそわないものであることは歴然たるものありというべく、それらは成立に争なき甲第一四号証の一、原本の存在と成立に争なき同号証の二ないし四(この二ないし四は順次それぞれ乙第一一号証の一、二、第一〇号証の写)の教える如くことさら作為された書面であることが推察できる。又成立に争なき乙第八号証、第九号証の一、二、第一二ないし第一五証に控訴本人下条の原審並びに当審における供述の一部を綜合すれば、遺産の争いを止め本件宅地を被控訴人の所有と確定する際被控訴人の弟らに与えた一五万円が控訴人下条を主債務者として(本件宅地を担保に)他から金融を受けたものであり、従つてその弁済も同控訴人の名においてなされたことが認められるけれども、冒頭記載の各疎明によれば、これは金融を受ける便宜上控訴人下条の封鎖預金を利用するためなどから方便としてなされたことで、借入金は本件宅地を管理することになる控訴人下条が土地利用による収益を以て弁済することになつていたのであり、従つて実質は先に引用した原判決認定の如く、「被控訴人において控訴人下条名義で他より金一五万円を借り受けた」という関係であることが認められるから金一五万円が控訴人下条の負担であり、従つて同控訴人が持分を譲り受けたものであるとすることはできない。(若しかりに、控訴人下条の個有財産から弁済資金が出されているという事実があるとすれば、それは被控訴人との間に求償関係を生ずべきであるに止まる。)その他前記認定を覆すに足る疎明は存しない。

二、本件建物の所有権の所在と控訴人らの管理の根拠権原。

被控訴人は、本件宅地上に建設せられた本件建物もすべて実質上自分のもので、控訴人らはこれを被控訴人のため共同して管理している関係にある旨主張するに対し、控訴人らは、右は控訴会社の所有であると抗争する。

ところで、本件宅地が被控訴人の所有であつて、控訴人下条の右土地に対する権限は被控訴人からの委任に基くもので外になく、そして、その委任の内容は、地上に――もとより被控訴人のために――建物を建てて他に賃貸することを中心としたものであることは前記認定の如くであるから、控訴人らの自ら主張する如く、控訴人下条が本件宅地上に「約一年半に完成した二一棟六八戸の店舗住宅」(控訴人らの当審における新たな陳述の三参照)なる本件建物は、この委任に基ずき、その履行として被控訴人のために建設されたものであり、従つてその所有権は被控訴人に帰属したものと推定される筋合であるし、(要したる建築費用等について、被控訴人に求償し得る関係を生ずるに止まり、甲第一号証の第三条但書により土地管理、利用の収入分から決済を受け得る。)甲第九、第一〇号証、原審証人小池正夫の証言、これによつて成立を認める甲第八号証、原審並びに当審証人小川エイの証言によれば、建築する建物については、控訴人下条において、借家人との交渉上あるは建築事務上等の利便に藉口して、名義のみはことさら被控訴人名義にすることをさけ、適宜な名義――建築当初は控訴人下条名義――を使つたものであること、控訴人下条は、建築費は建築建物の賃貸による権利金のみで賄えるといつて、さように約束して本件委任を受けたもので、実際上も権利金その他の収入のみで賄えていること、控訴人下条は当初被控訴人の建物所有権を認めて争うことがなかつたこと等が分り、これらを合せ考えれば本件建物が被控訴人の所有であることは益々明瞭というべきである。この認定にそわない原審証人大島勝利の証言、控訴本人下条の原審並びに当審における供述は信用できず、当裁判所が真正に成立したものと認める乙第四号証、第五号証の一ないし三、成立に争ない乙第六号証の一、二甲第一三号証の一が本件建物が控訴会社の所有に属することの疎明として採用できないことは右認定からいつて自明のことであるし、他に右認定を覆すべき疎明は存しない。

以上要するに、本件宅地、建物はともに被控訴人の所有に属し、被控訴人からの委任による控訴人下条の管理権限に基ずいて、控訴人らにおいて共同して管理しているものと認められる。

三、委任の解除とその効力。

この点については当裁判所は次に掲げる訂正、追加を加える外は原審同様に判断したので、ここに原判決のこの部分の記載(九枚目表一行目から一〇枚目表六行目まで)を引用する。

当裁判所の訂正、追加。

原判決九枚目表四行目の「甲第四号証の一、二」を削り、八行目の「同債務者は」から一一行目の「支払つたのみで」までを「控訴人下条は相当の収益をあげていながらその都度赤字だなどといつてその一部分を支払つたのみで」と訂正し、裏面二行目の「認めることができる。」の下に(控訴人らが「本件宅地に関しては、被控訴人の持分たる五分の一についての一ケ月五千円の額による地代を昭和二三年四月分以降支払うことによつて被控訴人に対する一切の責任は果されていることになり、建築費、保証金、家賃等について報告する義務はない」旨主張すること自体から考えても、控訴人下条が管理事務処理状況の報告ということを無視していたこと、従つてその報告をしなかつたことが推知されるわけである。)と挿入し、三行目の「債務者下条本人尋問の結果はたやすく信用し難く」とある部分を「控訴人下条の原審並びに当審における供述や成立に争なき甲第三号証の二の記載はたやすく信用できず成立に争なき甲第六号証は解除後の作成にかかるものでここに採用の限りでなく」と訂正し、委任解除についての同意条項をめぐる判断(原判決一〇枚目表一行目の「右特約は」以下六行目まで)を次のように改める。

右特約は単に民法第六五一条の規定する自由なる解約権の制限ないし放棄を定めた趣旨に過ぎないものであつて、次に述べるいわゆる重大なる背信的義務違反を理由とする解除をまで否定する趣旨ではないと解するのを相当とし、そして委任契約はその性質上その存続中に、当事者の一方に信頼を裏切つて委任関係の継続を著しく困難ならしめるような不信行為のあつた場合には、相手方は将来に向つてこれを解除することができると共に、この場合には、民法第五四一条所定の催告は、これを必要としないものと解すべきところ、本件においては、控訴人下条は、解除当時までに、被控訴人の再三の要求があつたのに拘らず、管理の計算を明かにして報告することをしなかつたこと前記認定の如くであつて、成立に争なき甲第五号証と弁論の全趣旨によれば、控訴人下条は、控訴人らが本件において主張する如く、被控訴人は本件宅地につき五分の一の持分を有するのみであつて、控訴人下条は、右持分の地代として被控訴人に対し一ケ月五千円の支払をすることでその責任の全部は果される旨をすでに右解除前において主張していたことが窺われるのであるから、同控訴人が右の如く報告をしなかつたのは、単なる懈怠ではなく、自ら持つ主張に基くものと推断されるところ、被控訴人からその所有の本件宅地の管理を委任された控訴人下条のかような態度を以てする管理状況報告義務の違反は、正に委任を継続し難き背信的義務違反を以て目すべきであるから、本件解除は有効であり、その到達によつて効力を生じたものといわねばならぬ。

なお、ここに附言するに、控訴人らは当審において、あるは控訴人下条が多くの出費をしたりなどして本件宅地に関し尽力したと誇示し、あるいは被控訴人が無断で本件宅地の一部を売却したと非難し、被控訴人は多くの収益をあげていると主張する。これらのことが本件に如何なる関係を持つというのか明白でないが、察するに、控訴人下条は受任者としての最善を尽したのであり、委任解除は故なしというのであろうか。しかしかようなことが仮りにあるとしても、土地利用に費用を費したなら土地収益から埋め合せすればよく、(甲第一号証第三条但書参照。なお、その他の関係で支出したものがあれば、それぞれ求償し得べき筈である。)被控訴人の土地売却の故に委任事務履行にさてつを来したのなら自ら委任を解除する等の措置をとつてよいであろうし、被控訴人においてあげた多くの収益なるものが控訴人下条の支払、交付にかかるものであるなら(控訴人下条の被控訴人に対する関係は月五千円の支払を以て終る旨の控訴人らの主張からすれば本来かようなことはない筈であるが。)それを管理の計算に組み入れればよいだけのことであつて、要するにこれらのことは、他人所有地の管理を委任された者が、その土地の大部分について自己の所有権を主張し、以て管理の計算をしないことを正当化する理由とはならない。控訴人らの主張は見当違いというの外ない。

右のように改める。

しからば、被控訴人は控訴人らに対し被保全権利たる本件宅地、建物につき委任関係不存在確認ないしその引渡を求める権利を有することが認められる。

四、本件仮処分の必要性、相当性。

この点については当裁判所は後記の如く附加する外原審同様に判断するのでここに原判決のこの部分の記載(一〇枚目裏冒頭から一一枚目表四行目まで。但し、一〇枚目裏七行目から八行目にかけての「現在その滞納額は合計約七十三万七千二百五十五円となつている事実」を「その後その滞納額は合計約七十三万七千二百五十五円」(当審証人塩坂雄策の証言によれば本件仮処分による管理代行者の適宜な処理によりその後若干の減少を見たものの如くであるが。)と改める。

控訴人らは本件仮処分の結果種々の不利益を生ずると主張するのであるが、当審証人塩坂雄策の証言によるも必ずしも控訴人ら主張の如くではない実情にあることが窺われるのみならず前記認定の諸般の事実からすれば本件仮処分の必要性、相当性は充分に首肯し得るところであつて、従つてこれを認可した原判決は相当であつて本件控訴は理由がない。

よつて、民事訴訟法第三八四条第一項、第九五条、第八九条第九三条第一項を適用して主文の如く判決する。

(裁判官 薄根正男 奥野利一 古原勇雄)

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